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時を超えるツーリングへ 北海道・幌内線跡をめぐる“鉄道ロマン”ガイド

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

北海道鉄道の原点、幌内線を巡る“クロニクルな旅”は、歴史とロマンが交差するツーリングです。かつて石炭輸送の大動脈として札幌と小樽を結び開拓時代を支えた幌内線は、1987年の廃線後も静かに時を刻んでいます。駅舎跡や枕木に残る風の匂いが、過ぎ去った時代の息吹を伝えてくれます。さあ、失われた鉄路の記憶を走り抜けてみましょう。

目次

幌内線の魅力と旅のはじまり

1880年、北海道で初めて、そして日本で3番目に開業したのが、手宮(小樽)〜札幌間を結ぶ幌内線です。1882年には幌内まで延伸され、北海道鉄道史の原点として名を刻みます。幌内(現・三笠市)では1879年に官営幌内炭鉱が操業を開始し、そこで産出された石炭は北海道開拓と日本の近代化を支える原動力となりました。鉄と石炭が交わるその地に文明の鼓動が確かに息づいていました。

しかし時代の流れとともに石炭需要は衰え、国鉄分割民営化を経てJR北海道に継承されましたが、1987年7月12日に全線廃止されました。鉄路は姿を消しましたが、“鉄道の街”としての記憶は今も三笠に残っています。幌内線は盲腸線(途中で行き止まりとなる支線)で三笠駅から旅客本線と貨物線に分かれていました。今回は、その本線跡をたどり、北海道鉄道発祥の記憶を風のように駆け抜けます。

岩見沢駅の復活劇

幌内線の旅は函館本線・岩見沢駅から始まります。現在の駅舎は5代目で、かつての木造旧駅舎は2000年12月10日未明、漏電による火災で全焼しました。その後、JR北海道が設置した仮駅舎が6年以上使われる中、市とJRは全国初の「駅+市施設+自由通路」のデザイン公募を実施しました。2005年に西村浩氏の案が採用され、2007年に暫定オープン、2009年に全面開業を果たしました。その復活劇は、今も岩見沢の象徴として凛とした存在感を放っています。

萱野駅とライダーハウス

萱野駅は1913年に開業しました。幌内線の多くが石炭輸送の拠点として設置されたのに対し、地元住民の嘆願によって生まれた駅です。1987年の廃線後、荒廃した駅舎は町内会の手で修復され、2000年代からライダーハウスとして甦りました。宿泊料は1,500円で、キッチンや冷蔵庫、洗濯機、シャワーを完備し、二段ベッドや女性専用室も設置されています。かつて北海道全土に広がったライダーハウスの精神を受け継ぎ、今も旅人が集う拠点として親しまれています。

DINER(ダイナー)で味わうアメリカンフード

旧萱野駅近くには、移動型フードの新星「DINER(ダイナー)」があります。アメリカンソウルフードとキューバサンド専門のキッチンカーとして街角に現れ、フレッシュな具材と香ばしいバケットで訪れる人を魅了しています。現在はライダーハウスに隣接した実店舗を準備中。新たな食の楽しみ方を体験できます。

三笠駅とクロフォード公園

三笠駅跡は「クロフォード公園」として鉄道公園に生まれ変わりました。ホームや跨線橋は当時の姿を残し、昭和天皇を乗せた客車をけん引したディーゼル機関車「DD51」や、北海道初の特急「キハ82系気動車」も静かに展示されています。公園名は明治期に幌内鉄道建設を指導したアメリカ人技術者ジョセフ・ユリー・クロフォードに由来します。鉄道が姿を消した街でも開業の誇りと歴史の重みは色あせず、訪れる方々に静かな威厳を伝えています。

三笠市幌内住吉共同浴場

クロフォード公園近くには「三笠市幌内住吉共同浴場」があります。炭鉱で栄えた町の労働者の必需品として生まれ、狭い住宅が密集する中で社交と情報交換の場としても機能しました。閉山後も地域に守られ、今なお三笠の象徴として息づいています。シャンプーや石鹸は持参必須で、洗面器は置かれていません。地元の方々の話に耳を傾けながら三笠の歴史を肌で感じられるのが魅力です。

現役の面影を残す唐松駅

唐松駅は1929年に開業し、1987年まで石炭輸送と地域の足として活躍した木造駅舎です。ツーリングマップル2017の表紙にも登場し、バイク旅の目的地としても知られています。ギャンブレル屋根と独特な待合室・事務室の構造は廃止後も地元有志の手で修復され、往時の備品や写真が展示されています。夏には盆踊りなど地元イベントにも使われ、街の文化を支える象徴的存在です。

弥生駅と花月園

弥生駅には現在、記念碑が立っています。1987年1月末の不審火で駅舎は焼失し、廃止時はプレハブ小屋が駅舎代わりに使われていました。駅を進むと古びたつり橋が現れ、その先にはかつて「三笠 花月園」と呼ばれた遊園地の面影が広がっています。昭和期に開園した園内は観覧車や小型遊具、季節ごとの花壇で彩られ、春の桜や花菖蒲の景観は多くの人々の記憶に残っています。現在は閉園していますが、資料館で当時の賑わいを知ることができます。


幾春別駅と炭鉱街

幌内線本線の終点は幾春別駅です。この地区はかつて炭鉱街として栄え、吉備炭鉱や住友奔別炭鉱の開発で町は活気に満ちていました。現在でも炭鉱施設跡や坑口跡、住宅街の配置から往時の面影がうかがえます。

100年の歴史を移住者が繋いだ「更科食堂」

「更科食堂」は2020年に閉店しましたが、地域おこし協力隊の支援で再開しました。大正創業の伝統蕎麦は、東京で飲食店を営んでいた白髭克彦さんが4代目として受け継ぎ、往時の雰囲気を残しつつ現代的な対応も導入。笑顔と活気を取り戻しています。

山の駅と新たな地域の息吹

2025年夏、空き店舗だった元コンビニが改修され「山の駅」として生まれ変わりました。オーナーは山あいの小さな温泉旅館「湯の元」の杉浦さん。障害のある人たちが働き、誰かの役に立てる“当たり前”を形にする場として、食品加工場や憩いの場を地域に提供しています。ここでは濃厚な「王国のプリン」を製造・販売。キャンプ用品も揃えています。

過去と今をつなぐ線路

かつて石炭の煙と汽笛に包まれた幌内線沿線の町々には静かな時間が流れています。それでも駅舎や立坑跡、クロフォード公園やライダーハウスに足を運べば、往時の賑わいや人々の営みがふと胸に蘇ります。鉄道の記憶を辿る旅は単なる観光ではなく、過去と現在が交錯する時間旅行です。バイクのエンジン音にのせて、かつての開拓者たちの息吹を感じることができるでしょう。

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